自信は「環境が作る」
メンタルは「強さ」ではありません。
環境によって変動する状態です。
私達はしばしば「自信がある人=内面が強い人」というように考えがちです。
しかし、実際にはそうではありません。
社会心理学はこの見解を明確に否定しています。
心理学者のレオン・フェスティンガーの研究によると、「人は自分の能力や価値を、絶対評価ではなく、他者との比較によって判断する」とされています。
つまり、
- 能力が優れているかどうか
- 努力をしているかどうか
- 成果を挙げることができたのか
これらの要素以上に、「どんな環境にいるのか?」が自己評価を左右しています。
極端に言えば、才能や性格以上に、環境の影響のほうが大きいと言えます。
社会心理学では「状況が人を作る」という概念が知られています。
これは、「多くの行動や感情は、個人特性ではなく状況によって引き起こされる」という考え方です。
ですから、メンタルを強くしたいのであるならば、それに適した環境を選ぶことが非常に重要だということです。
承認圧力の強い環境が人を追い詰めている
メンタルを著しく消耗させるものが承認圧力です。
心理学者のマズローが「自己実現理論(欲求階層説)」の中で提唱した通り、人間にとって他者から認められ、尊重されたいという欲求は、食事や睡眠と同じくらい根源的なものです。
この欲求そのものは悪いものではありません。
問題なのは「承認を受けることを常に意識させる環境」に長期間にわたりいることです。
現在の時代はXやInstragramなどのSNSが非常に多くの人に使われています。
SNSを使い続けていると、常に「承認を受けたい」という刺激にさらされることになります。
- 「いいね」の数
• フォロワー数
• 再生回数
これらは一見すると「中立」なデータですが、
これらの数字により「比較」と「評価」が強く促進されます。
複数の研究では、
SNSの過度な利用は「自己評価の低下」「不安」「抑うつ傾向」と相関することが示されています。
SNSはメンタルを崩しやすく、脳にとって過剰な負荷になりやすい環境です。
また、職場での評価基準も同様に承認圧力を高めてしまう場合があります。
• 数値だけで評価が行われる • 成果が即時に可視化される • 失敗が強調される
こうした環境は競争が激しく、常に他者との比較にさらされ続けることになります。
その結果、
正しく評価されたい
流れに遅れてはいけない
劣ってはいけない
という心理を数多く抱くことになります。
競争と比較による評価は、努力を促す側面があります。
しかし、反対にメンタルを回復させる機会を奪うことにもなってしまいます。
◆ 構造と選択
構造:人は比較せざるをえず、承認圧力の高い環境では自己評価が不安定になる
選択:比較と評価にさらされる環境との距離を自分で調整する
環境の過剰な影響から自分を守る方法
このように環境によって人は大きな影響を受けていて、メンタルは揺れてしまいます。
そうなると、「環境によって、これだけ影響を受けるなら、どうしようもない」という感じになりがちです。
しかし、メンタルが壊れにくい人は
このような環境による影響を理解した上で、その圧力を意図的に調整しています。
① 物理的環境を整える
② デジタル環境を整備する
③ 人間関係の距離を調整する
① 物理的環境を整える
- 休める場所を確保する
- 集中できる空間を確保する
- 心身が回復する動線をつくる
メンタルを回復、調整するためのインフラ整備です。
② デジタル環境を整備する
- 比較を煽るアプリを削減する
- 情報の流入量を制限する
- 評価データから距離をとる
SNSを完全に断ち切ることまでやる必要はありません。
重要なのは、「評価される環境」にいる時間を自分で決めているかどうか?です。
③ 人間関係の距離を調整する
- 常に否定的な人
- 比較を持ち込む人
- 不安を増幅させる集団
これらの人や集団と距離をとることは、自分を守るために重要な戦略です。
まとめ
メンタルを強くするには、
- 「自信は環境によって作られる」と理解する
- 「環境による承認圧力は人を消耗させる」と理解する
ことをした上で、
環境を意図的に選択する
ということがポイントとなります。
メンタルが弱くなった時に、「精神が弱い」と自分を責める必要はありません。
問題はあなた自身ではなく、環境にある可能性が高いからです。
メンタルは、個人の強さではなく、環境との関係によって決まります。
