自信は行動の履歴が積み重なった結果として生まれるものです。
しかし、同じように行動していても、
自信が崩れる人と、崩れない人がいます。
その違いを生み出しているものはなんでしょうか?
それは「認知の構造」です。
視点の高さが自信の安定感を決める
思考の抽象度の高低が、自信にも深く影響を与えています。
抽象度が上がるとは、
「個別の出来事」ではなく
「構造やパターン」で捉えることです。
その結果、
出来事を“自分そのもの”としてではなく、
一つの現象として扱えるようになります。
自信が崩れやすい人は、
出来事と自分の距離が近すぎる傾向があります。
- 失敗した = 自分は駄目だ
- 注意された = 自分は否定された
- 評価が低い = 自分には価値がない
このように出来事で、そのまま自分を解釈してしまいます。
しかし、自信が安定している人は、
出来事との距離があり、視点が一段階上にあります。
- 失敗した = これは単なる一つの現象だ
- 注意された = これはプロセスの途中で出来事だ
- 評価が低い = 改善スべきポイントが見つかった
出来事と自分への評価を切り離しています。
この距離感を生み出す、
「抽象度の高さ」、すなわち、「視点の高さ」が
自信の崩れにくさを決めています。
失敗と自己価値を切り離すことの重要性
「失敗 = 自己否定」になってしまうのは、なぜでしょうか?
これは性格の問題ではありません。
認知の結びつきが強すぎるのが原因です。
失敗した自分を価値がないと感じてしまう状態のことを、
心理学では「同一化」と呼びます。
同一化とは、
「起きた出来事」と「自分の価値」を直結させてしまう状態です。
この認知構造のままでは、
どれだけ行動を積み重ねたとしても、
失敗をするたびに自信が失われてしまいます。
しかし、自信が安定している人たちは異なります。
失敗したとしても、その出来事を
- 情報
- データ
- 次に活かせる材料
と解釈します。
彼らは、
失敗したときに、
自分の価値はどうなのか?
に思考を集中するのではなく、
現実をそのまま受け取り、
自分とは切り離して処理しています。
そして、それを生み出しているのが抽象度の高さ、視点の高さなのです。
技術1:脱中心化で自信を維持する
心理学には
脱中心化(Decentering)
という概念があります。
これは、
思考や感情を「自分そのもの」と同一視せず、
一歩引いた位置から観察できる状態
を指します。
脱中心化ができていると、
- 「失敗した」という事実
- 「落ち込んでいる」という感情
を、事実のままで、現象として扱うことができます。
結果として、どうなるかというと、
「落ち込んでいる」という感情は湧く
けれど、
飲み込まれずに、失敗の原因や改善策を探求できる
状態になるのです。
これができると、次第に
フォーカスが落ち込みから改善策に移るため、
自分を責めることなく、自信を保つことができます。
技術2:メタ認知で自信を維持する
この脱中心化と深く関係しているものが「メタ認知」です。
メタ認知とは
「自分の考えを客観的に捉える力」
のことです。
たとえば、
「今、自分は不安を強く感じている」
「失敗を過大評価しているかもしれない」
というように思考を捉えます。
これは自分の思考を客観的に見つめ、観察している状態で、
感情に飲み込まれなくなります。
研究では、メタ認知能力が高い人ほど、
- ストレス耐性が高い
- 回復が早い
- 自己否定に陥りにくい
ことが示されています。
メタ認知は「自分の思考を捉える能力」です。
脱中心化は、その能力によって実現される状態です。
この2つの技術を使って、出来事との距離をとることが大切です。
視点を変える質問
では、どうすればこの視点を持てるのか?
ポイントは、
「自分を主語にしない」ことです。
× なぜ自分はダメなのか?
○ 何が起きたのか?
× 自分に価値はあるのか?
○ どの条件で結果が変わったのか?
このように、
自分ではなく「現象」に焦点を当てることで、
自然と距離が生まれます。
自分を客観視する質問で自信を保つ
自分をデータとして扱う視点をもっていると、
自信が崩れにくくなります。
何が問題が生じたときに
自分を責めるのではなく、
その問題に関するデータを収集する
ということです。
ミスが起きたときに
- ミスが発生した原因
- ミスが発生した場所
- ミスが起こりやすい状況か
など、ミスが発生した状況に関する情報を集めるのです。
こうすることで、自分を「評価する」のではなく、「観測する」ことができます。
そして重要なことは、良し悪しを判断しないことです。
これをやってしまうと、観測ではなく、評価のほうに意識がいってしまい、
自分を責め始めてしまう可能性が高まります。
あくまでも観測対象として、データを集め、分析するのです。
この視点を持てるような自問の言葉を用意し、自分に投げかけると効果的です。
- この原因は何か?
- これを繰り返せないためにできることはないか?
こういった質問を投げかけることで、
自分をデータとして観測していくことができるようになります。
自問の繰り返しによって、データ観測の視点を持てるようになると
「できなかった日」=「価値が下がった日」ではなくなります。
こうすることで、折れないまま進むことができるようになっていきます。
自分の内面対話を質問で誘導していく
自分へ厳しい質問を投げかける習慣を持っている人がいます。
- なぜできないんだ?
- 才能がないのではないか?
- もうやめたほうがいいのではないか?
失敗するたびに、投げかける質問が厳しすぎるのです。
そうなると脳はこれらの質問への答えを探し始め、
何らかのカタチで、それらしい答えを見つけてくれます。
結果的に、自分を責めるような質問をして、その回答を得るという自問自答しているのです。
自分の内面の対話が厳しいものであると、自信が崩れやすいのですが、当然であると言えます。
そのため、意図的に思考が良い方向に向くような質問を用意しておくことが大切です。
- どこで詰まった?
- 次はどうする?
- 前と何が違う?
というような、問題解決型の質問を用意しておくのです。
そうすることで、自分の内面の対話が
冷静になり、感情的になってしまうことが少なくなります。
自信をキープし続けるには、
失敗した時の質問を用意しておくと、
折れにくくなりるし、
回復力が高まっていきます。
まとめ
- 折れない自信は認知の構造が違う
- 抽象度を高める(視点を高める)と、出来事と距離をとることができる
- 失敗と自分の価値を切り離していく
- 脱中心化とメタ認知で自分を客観視し、自信を安定化する
- 自分をデータとして扱うと折れにくくなる
- 自分を客観視できる質問を用意しておき、失敗を乗り越える
様々な観点で話をしてきましたが、共通しているのは、
自分自身を客観視して、自分と出来事を切り離す
ということです。
自信を積み上げるのには、小さな成功の繰り返しが必要です。
そこまでして得た自信を保てるかどうかは、非常に重要なことです。
自信が崩れない人は、
強いわけでも、楽観的なわけでもありません。
自分との距離の取り方が、
構造として整っている
だけなのです。
